やあ、こんにちわ。
今ちょうど、君と初めて出会った時の事を思い出していたんだ。
そう、あれは確か寒い冬の朝。君は僕にこの姿を与えてくれたね。
そして、素敵な黒帽子と赤いとんがった鼻。うれしかったよ。
でもね、そろそろ時間なんだ。僕は行かなくちゃいけない。
ああ、そんな顔はしないでおくれ。ただ、旅にでるだけなんだ。
嘘だって? 嘘じゃないさ。僕はずっと旅を続けてきたんだよ。

僕はこれから水に姿を変えるんだ。
そして、草木をうるおすブランデーとなろう。
草木はどんどん育ってくれるだろうね。
緑の葉や美しい花、おいしそうな実をつけたら、鳥たちを呼んで皆で歌を歌おう。
誰もが楽しむパーティの始まりさ。
やがて、パーティも終わり、木々は眠りに落ちる。
そしたら、僕はまた次の旅にでるんだよ。

そう。僕は旅人なんだよ。世界中を旅してきた。
珍しいものや楽しいこと、素敵なことがたくさんあったよ。
え、羨ましいって? 何言ってるんだい。君だって旅人だよ。
君も今まで素晴らしい出会いが、数え切れないほどあったんじゃないのかい?
思い当たるだろう? なら、一つ一つの出会いを大切にしてね。
でもね、、出会いの後は別れがやってくるんだ。今回のように。

ああ、泣かないでおくれ。
これは悲しいことじゃない。これは永遠の別れなんかじゃないんだ。
君は君の、僕は僕の旅を続けていれば、またいつかきっと会える。
うん。約束だ。絶対に会おう。その時は思い出話に華を咲かせようね。

時間だ、行かなくちゃ。太陽がうるさく急かしてるよ。
さあ、涙を拭いて胸を張って、君のとびっきりの笑顔を見せてよ。
うん。最高の笑顔だ。その笑顔を忘れないでね。
君と過ごした日々、楽しかったよ。

最後に…君の旅路に幸運がある事を願って――

 

         good bye


 

 

〜あとがき〜

季節的にはぴったりな詩だと思います。
これを見て元気出た人、頑張ろうと思った人、フレッシュな気分になった人がいたら光栄です。
お気に召したでしょうか?