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――頑張れ。
ふと、そんな声が聞こえた。
私は今何もしていないのに、どうして応援されるのだろう。
――頑張れ!
さっきよりも強く聞こえた。どうしてそんなに必死で応援してくれるのだろう。
… … …。
それから後は、もう何も聞こえなかった。
自分で答えを探せということなのだろうか。

私は部屋の窓を開けた。
風が心地よい。私は大きく深呼吸をした。
すると、どこからか桜の花びらが舞ってきた。私はそれを手のひらに載せた。
春の暖かみが感じられた。日頃の疲れが少し和らいだような気がした。私はふっと笑みを
こぼした。
そして再び風が吹き、その花びらはまたどこかへと舞っていった。
風に乗ってたくさんの人たちに幸せを運ぶのだろうな、と私は思った。

桜の花びらは幸せを運んでくれる。心地よい風は春を感じさせてくれる。
そう思っている途中、こんな言葉が頭をよぎった。
…私はどうだろうか。
仕事はまともにこなせない。人との付き合いは悪い。いつも失敗ばかりする。
いつしか私は生きている意味すら忘れてしまっていた。
毎日室内での生活。仕事なんてとっくの昔に辞めた。親しかった友人に会わせる顔もな
い。
そんな私に"頑張れ"と声をかけてくれる人がいるだなんて、未だ信じられない。
いや、その声の持ち主が人なのかもわからない。でも、優しい気持ちを持っていることは
わかる。
貴方は誰なの。

私は久しぶりに庭へ出た。何もない。植物は世話ができそうもないので植えていない。
ぼんやりと庭全体を見た。端の方には雑草が生えていた。でも、抜こうという気にはなれ
なかった。
…何で庭になんか出たんだろう。
私は一息ついてから180度方向を変え、部屋に戻ろうとした。
そのとき、視界の端に何か黄色いものが映った。
私は何だろうと思い、ちら、と目をやった。そこには、小さな花が咲いていた。
とても綺麗だった。そのまま私は、黄色い花をしばらく見つめていた。

花は一生懸命咲いている。
いつか枯れるのがわかっている上で咲いているのだろう。
人間だって同じ。
いつか死ぬのがわかっている上で生きている。
でも、この先死ぬことの他に何が起こるかはわからない。
未来は今どうやって過ごすかによって変わるのだから。

…未来は、変わる?あぁ、そうか。
これから先、何が起こるかなんて誰にもわかりはしないんだ。
私は生きている。これから未来を変えることができる。
もう一度頑張って就職して、また仕事に励めばいい。
友達をたくさんつくって、楽しい日々を送ればいい。
失敗をしたって構わない。前向きに生きていけばきっと何とかなる。

応援してくれたのは貴方だったんだね。ありがとう。
私は庭の小さな花を見つめた。